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OcNOSをVirtualBoxで動かす

前回および前々回の記事では、VMware FusionにてOcNOSをデプロイし初期設定と動作確認を行なった。
OcNOSのダウンロードサイトでは動作環境としてVirtualBoxも挙げられているものの、ダウンロードサイト内で入手する事が出来る導入手順書(OcNOS VM VirtualBox Hypervisor Quick Start Guide 6.3.0.pdf)に記載されている手順、Create a New OcNOS VM on VirtualBox Hypervisorの内容に従ってVirtualBoxの設定を実施しても、正常にデプロイが完了しない。
回避策としてシリアルポートの設定を追加する事で、VirtualBox環境でOcNOSを動作させる事が可能となる。
(正確に言うと、VirtualBoxの内部ではOcNOSは起動しているものの、VirtualBoxのコンソール画面上ではOcNOSの起動が停止しているように見えるという現象)
 
OcNOSの概要やOcNOSと日本人との関わりに関しては、前々回の記事にてまとめてある為に当記事内では割愛する。
前々回の記事へのリンク先は、当記事内の最下部の「OcNOSの関連記事」を参照。
 

当方の環境
ホスト機:macOS 14.4.1 / MacBook Pro 2020 / RAM: 16GB / CPU: Intel Core i5 2.0GHz
ゲスト機:OcNOS 6.3.0-126
仮想化環境:Oracle VirtualBox 7.0.14
 
 
OcNOS VMのダウンロード
IP Infusion社の公式サイトのトップページの上部に表示されている「OcNOS Virtual Machine Free Download」の「Free Download」をクリック。
遷移先のページの下部にて、環境に合った仮想アプライアンス(EVE-NG、GNS3、VirtualBox/VMware、KVM)を選択し「Download」をクリック。
「Download OcNOS VM」欄内で各欄に情報を記入し「Submit」をクリック。OcNOS-SP-PLUS-x86-6.3.0-126-GA.vmdk.xzをダウンロード。
ダウンロードした.xzファイルを適当なフォルダに保存し、解凍する。
 
 
VirtualBoxの設定
OcNOS VMのダウンロードサイト内にある導入手順書の記載内容に従い、設定を進める。
導入手順書には記載が無いが、VirtualBox環境でOcNOSをデプロイし動作させる際は、VirtualBoxにてシリアルポートの設定が必要となる。
以下は、導入手順書に記載されている内容を元に自分の環境で設定した内容である。
VirtualBoxのNetwork欄内にて設定する外部接続用のNIC設定は、Adapter 1に適用されるeth0は管理用ポートにつきAdapter 2に外部接続用のポートeth1を適用させる内容となっている。
 
[General]
Name:OcNOS SP-PLUS-x86-6.3.0-126-GA (任意の文字列)
Type:Linux
Version:Debian 10 Buster (64-bit)
 
[System]
Base Memory:4096MB
Processors:1
Boot Order:Hard Disk
 
[Display]
Video Memory:16MB
Graphics Controller:VMSVGA
Remote Desktop Server:Disabled
Recording:Disabled
 
[Storage]
Controller:IDE
IDE Primary Device 0:OcNOS-SP-PLUS-x86-6.3.0-126-GA.vmdk
 
[Audio]
Disabled
 
[Network]
Adapter 1:Intel PRO/1000 MT Desktop (Bridged Adapter, en0: Wi-Fi (AirPort))
Adapter 2:Intel PRO/1000 MT Desktop (Bridged Adapter, en0: Wi-Fi (AirPort))
Adapter 3:Intel PRO/1000 MT Desktop (Internal Network, Name: intnet01)
Adapter 4:Intel PRO/1000 MT Desktop (Internal Network, Name: intnet01)
 
[Ports]
Enable Serial Portにチェックを入れる
Port Number:COM1
Port Mode:Host Pipe
Connect to existing pipe/socketのチェックを外す
Path/Address:/tmp/ocnos(Windows環境の場合、\\.\pipe\ocnos を入力する)

USB
USB 1.1 (OHCI) Controller
 
 
VirtualBox環境におけるシリアルポート接続について
1.macOS環境の場合
macOS環境にてシリアルポート経由みたいな感じでゲストOSに接続したい場合、ターミナルを立ち上げbrewコマンドでsocatをインストールする必要が有る。

$ brew install socat

 
socatのインストール後、OcNOSを起動させたらターミナル上で以下のコマンドを叩く。
/tmp/ocnosはVirtualBoxのシリアルポートの設定のPath/Address:欄に入力した文字列。

$ socat /tmp/ocnos stdio,raw,echo=0,escape=0x1a

 
2.Windows環境の場合
PuTTYやTera TermとVirtualboxのゲストOSとのシリアル接続の橋渡し的なツールとして、Named Pipe TCP Proxy Utility(NPTP)を使用する。
ダウンロードしたnptp_setup.zipを適当なフォルダにて解凍し、rptp.exeファイルを叩いてインストール。
インストール後、NPTPを管理者権限で立ち上げる。
NPTPのウインドウ内のメニューEditからNewに入り、Pipe nameはVirtualboxにて設定した \\.\pipe\iosxrv をそのまま入力、Portは任意の値(自分の場合は9001)を入力。Addをクリックして設定を反映させる。
 
NTPTを立ち上げた状態でOcNOSとPuTTYまたはTera Termを立ち上げる。
PuTTYやTera Termでは、telnetを接続先localhost、ポート番号9001を指定する。
http://shvechkov.tripod.com/nptp.html Named Pipe TCP Proxy Utility
 

OcNOS VMを起動させる
VirtualBoxの設定を終えたら、VirtualBoxの矢印ボタンをクリックしOcNOSを起動させる。
Mac環境ではターミナルを立ち上げ、socat /tmp/ocnos stdio,raw,echo=0,escape=0x1a を打つ。
Windows環境ではNamed Pipe TCP Proxy Utility(NPTP)を事前に立ち上げてからOcNOSを起動させる。
 
Mac環境にてターミナルを使用していると、起動途中で文字化けが発生する事が有る。気になる場合はターミナルを一旦落とし再度立ち上げると文字化けが解消される。
 
OcNOSの起動が完了したら、OcNOSにログインが可能となる。
デフォルトのログインIDとパスワード共にocnosである。
以下の出力内容のとおり、OcNOS VMはDebian GNU/Linuxベースである事が分かる。

$ socat /tmp/ocnos stdio,raw,echo=0,escape=0x1a
:
(OcNOSの起動ログ)
:
Welcome to OcNOS
OcNOS login: ocnos
Password: 
Linux OcNOS 4.19.91-g37f56f98f #1 Fri Oct 16 09:13:49 UTC 2020 x86_64

The programs included with the Debian GNU/Linux system are free software;
the exact distribution terms for each program are described in the
individual files in /usr/share/doc/*/copyright.

Debian GNU/Linux comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY, to the extent
permitted by applicable law.

OcNOS version DEMO_VM-OcNOS-6.3.0.126-SP_PLUS-x86_-GA  06/02/2023 17:30:25
OcNOS>

 
以下では、show versionを打ってOcNOSのバージョンの確認。
show clockを打って日時の確認、show system resourcesを打ってリソースの消費状況の確認を行なっている。

OcNOS>en
OcNOS#show version
Software version: DEMO_VM-OcNOS-SP-PLUS-x86-6.3.0-GA 06/02/2023 17:30:25
 Copyright (C) 2023 IP Infusion. All rights reserved

 Software Product: OcNOS-SP, Version: 6.3.0
 Build Number: 126
 Release: GA
 Hardware Model: 
 Software Feature Code: PLUS-x86
 Software Baseline Version: 6.0.117
OcNOS#
OcNOS#
OcNOS#show clock 
11:21:17  UTC Sun Apr 14 2024
OcNOS#
OcNOS#
OcNOS#show system resources 
load average: 0.00, 0.01, 0.00
Tasks:  94 total,   1 running,  93 sleeping,   0 stopped,   0 zombie
%Cpu(s):  0.0 us,  0.0 sy,  0.0 ni,100.0 id,  0.0 wa,  0.0 hi,  0.0 si,  0.0 st
MiB Mem :   3944.1 total,   3175.6 free,    383.5 used,    385.0 buff/cache

OcNOS#

 

今回はここまで。
VirtualBoxのシリアルポートの設定およびホスト機側でのシリアルポート接続に関する設定を行う事で、VirtualBox環境にてOcNOS VMを正常にデプロイが完了する事が出来た。
この後はVMware環境と同じく、外部との接続の設定により他の機器との間で通信が可能となる。
外部との接続の手順に関しては下記のリンク先の関連記事内にて記載している為、当記事では割愛する。


 

参照サイトなど
IP Infusion社公式サイト
https://www.ipinfusion.com/ IP Infusion
https://www.ipinfusion.com/products/ocnos-vm/ OcNOS VM
https://www.ipinfusion.com/products/ocnos-sp/ OcNOS SP
https://www.ipinfusion.com/products/ocnos-ron/ OcNOS RON
https://www.ipinfusion.com/products/ocnos-dc/ OcNOS DC
https://www.ipinfusion.com/wp-content/uploads/2021/07/OcNOS-SP-4.2-Config-Guide.pdf OcNOS SP Configuration Guide
 

OcNOSの関連記事
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20240316/1710567015 OcNOSをVMware Fusionで動かす - 導入編
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20240324/1711248553 OcNOSをVMware Fusionで動かす - 動作確認編(BGP)