メモのページ - チラシの裏メモ 3枚目

通信技術や気になった事を黙々とメモし続ける

Interop Tokyo 2024に行ってきた

今年も、ネットワーク・インフラ技術やそれらを用いたソリューションサービスに関する国内最大規模の展示会であるInterop Tokyoに行ってきた。
昨年に引き続き、AIやゼロトラストセキュリティとインフラおよびIPネットワークとの融合が強く意識された出展が多かった。
ShowNetの今年のテーマは「Inter * Network」で、アスタリスクの部分はマスコミなどメディアの業界や企業のビジネスを支えるインフラや国同士や大陸同士だけでなく惑星間を繋ぐインフラなどが挙げられるとの事。用途や目的が異なっていたとしてもそれぞれが最適なネットワークで接続が出来るというネットワークのモデルケースとして、ShowNetが構築されているという。
 


 
幕張メッセ最寄駅のJR海浜幕張駅から幕張メッセ方向に撮影。
正午あたりに着いた為、晴天に恵まれたどころか真夏を思い起こすような蒸し暑さ。駅から続くInterop参加者の行列は日陰に沿うような導線で続いていた。
会場の幕張メッセ 国際展示場まで徒歩7〜8分。予め印刷した紙の入館証を首からぶら下げて会場に入る。
2024年にもなって、入館証は紙だけである。ITのイベントなのだからQRコードの入館証もあっていいと思う。
 

今回は晴天且つ最終日だからだろうか、参加人数は昨年より多めに見えた。
昨年はShowNet周りはラックをスマホで撮影する事が容易に出来たが、今年は人が多くて厳しい。

 

上の画像に有るのは、ShowNetの対外接続回線/対外接続ルータのラック内最下部に設置されている、コアネットワークのルータCisco 8608。このルータは昨年開催されたInterop Tokyo 2023のネットワークインフラ(キャリア/ISP)部門にてBest of Show Awardの準グランプリを受賞した。
Cisco 8608は自社製のASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるCisco Silicon Oneの第2世代「Sillicon One Q200」が搭載されており、1世代前のASICを搭載しているNCS6000シリーズルータと比較すると電力の消費量を38分の1に抑える事が出来た事により、筐体の小型化に成功した。
最大スループットは12.8Tbpsで、7スロットのポートアダプタで10Gから400Gまで物理ポートの数を柔軟にカスタマイズする事が可能である。
ShowNetでは紹介されていなかったが、ホワイトボックスNOSであるSONiC OSを搭載する事が可能である。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/iosxr/cisco8000/sonic/b-release-notes-sonic-202305-1-x.html

当ラック内で稼働しているCisco 8608はIPv6シングルスタックで動作し、SRv6(Segment Routing IPv6)uSIDでL3VPNを構築したという。出展者側からVxLAN EVPNでコア側に対し出展者側のネットワークの経路情報をアドバタイズしているという。
 

上の画像に有るのは、Interop Tokyo 2024のネットワークインフラ(AIインフラ / データセンター)部門で審査員特別賞を受賞した、Juniper PTX10002-36QDDというルータ。コアネットワークのラック内中央部に設置されている。
この製品は今回のShowNetが国内での初登場となり、全36ポート800Gbps対応の高帯域・高密度を実現した最新のPTX10000シリーズルータである。
このルータは、JuniperのExpress5シリコンをベースにした次世代クラウド向けに最適化されたルーティングプラットフォームであり、省電力でありながら28.8Tものスループットを持つ。ラック内の占有スペースは2Uで大きな筐体ではない。スペースや電力に制約のある環境等でも実力を発揮する事が可能だろう。
ShowNetでは、バックボーンのコアルータとして各サブネットのアグリゲーション及び会場内とインターネットと間の相互接続をしており、会場のネットワークのバックボーンや出展企業にインターネット接続を提供する為の中核となる装置として稼働しているという。

Juniper MXシリーズと同様にサービスプロバイダ向けのルータという製品にカテゴライズされるが、MXシリーズとの違いはポートの高帯域や高密度やACLの機能の違いやEVPN-VXLANの機能の違い等が挙げられるだろう。MXシリーズルータと同様にPEルータとしての利用が想定されている製品なのだが、今までMXルータが稼働していた環境では、要件はそのまま且つ高帯域や高密度を必要としないのであればMXルータを利用し続けても問題無いかと思うが、PTXルータが適した環境であるかどうかはネットワーク設計担当やJuniperの営業等と要相談という事で。

...ところで、Juniper PTX10002-36QDDが設置されているラック内の上側に、気になる機器が設置されていた。
Ribbon Communications(米国)のApollo 9603という機器だ。その可愛らしい社名とロゴが気になり帰宅後に調べたら伝送系機器である事が分かった。
伝送系機器といったら、今年もShowNetで稼働しているSpectralWave(NEC)やMediaRouterX(NTTイノベーティブデバイス)が頭の中に浮かぶ。
光伝送やスイッチングのモジュール等を組み合わせる事により、ビットあたりのコストが最も低い、高性能なコアへのアクセス光ネットワークソリューションを実現させる事が出来るという。高度にモジュール化されたこれらのプラットフォームは、現在のニーズを正確に満たすソリューションにカスタマイズする事により、トラフィックの増加や新しいテクノロジー等に経済的に対応する事が可能との事。
 
 

上の画像はShowNetのブースに掲示されていた今年の構成図。
構成図のPDFファイルは下記リンク先にてダウンロード可能。

Interop Tokyo 2024ではIOWN関連の技術も導入されているという。
ShowNetの400Gbps光波長パスを経由し、光電融合デバイスやWhiteboxトランスポンダなどの最新製品を介し、IOWN Global Forumのアーキテクチャに基づいたオープン標準のOpen APNによるマルチベンダ環境を相互接続しているという。また、これらの動作や遠隔監視の実証環境の展示は国内初となっている。
 

今年は、Juniper NetworksのブースにてShowNetで使用されているJuniper PTX10002-36QDDについて軽く話を聞いて、Cisco Systems(販社との共同出展)のブースにて「やわらかいインフラ for Service Provider」について軽く話を聞き、会場を後にした。今回はShowNetの周辺に居る時間が圧倒的に多かった。
 
帰路は中野で途中下車し、中野ブロードウェイ内にあるアドアーズ中野のガチャガチャコーナーで「手のひらネットワーク機器2.0」を購入。4玉購入し、Extreme 5720-48MXWが2台、DELL PowerEdge R760が1台、Apresia NP3000-24X4Qが1台。Extremeスイッチが重複したので冗長構成にした。
来年も手のひらネットワーク機器が販売されるのであれば、Juniper SRXやJuniper PTXあたりをラインナップに加えて欲しい。


昨年と同様にInteropの会場内でも手のひらネットワーク機器2.0のガチャが入手可能なのだが、個人情報と引き換え、しかも希望者全員に配布される訳でないので、自分は購入して入手した。

2024/6/22追記 土日に吉祥寺のC-plaコピス吉祥寺店にて計4玉購入。昨年の手のひらネットワーク機器1.0と混ぜてみた。Catalyst9300-48UXWをWANルータ、Apresia NP3000-24X4QをコアSW、Extreme 5720-48MXWをアクセスSW、FortiGate 3701Fをワンアーム構成なFWとしてケーブルで繋いだ。CiscoやYAMAHAのルータが有ったら嬉しかったのだが、過去にCatalyst3850をWANルータとして稼働させているユーザ様を何度か見たのでとりあえずヨシとする。
ラック跨ぎのケーブル配線は嫌いだが、パッチパネルが無いので仕方なくやった。
 

今回見学したブースの一覧
Juniper Networks、A10 networks、Cisco Systems
※Cisco Systemsは単独ではなく販社との共同出展
 
Interop Tokyo 2024
会期:6/12(水)〜6/14(金)
会場:幕張メッセ(国際展示場 展示ホール4~7)
https://www.interop.jp/
 

当記事にて言及した製品
https://www.cisco.com/c/ja_jp/products/collateral/routers/8000-series-routers/8608-router-ds.html Cisco 8608
https://www.juniper.net/jp/ja/products/routers/ptx-series/ptx10002-36qdd-packet-transport-router.html Juniper PTX10002-36QDD
https://ribboncommunications.com/products/service-provider-products/optical-networks/optical-transport/Apollo-9603 Apollo 9603
 

ShowNetに関する資料および構成図
https://note.com/shownet/n/n3cf4db510844 ShowNet Topology 1994-2023
https://note.com/shownet/n/n0e6ea7ea97f1 shownet.conf_2023 講演と資料

Interop Tokyo 2024のNW構成図や構成図で使用されたアイコンなど
https://www.interop.jp/2024/shownet/concept/