メモのページ - チラシの裏メモ 3枚目

通信技術や気になった事を黙々とメモし続ける

外出自粛で暇なのでUNIX系OSの使用遍歴を振り返る

外出自粛で暇だった為に久しぶりに部屋の中を整理していたところ、オライリーの「入門 csh&tcsh」という本が出てきたので、懐かしんで暫くの間読んでいた。
読み終わった後、UNIX系OSとの関わりを振り返ってみた。
 
 
はじめてのUNIX系OS 2000~2004年
自分が大学生だった1990年代後半はMacOS 8やWindows 95や98等が既に出回っていて、インターネットが急激に普及していた時期であったが普及率は今より低く、大学の電算機室や研究室内でしか触れた事が無い学生は多く存在していた。
自分もその中の一人で、普段は学芸員課程の授業で電算機室のノートPC(Windows 95)に少し触れる程度、自分専用の計算機(以下、PCと表現)は大学卒業直後にようやく購入出来た。
購入したとは言っても中古のOS無しノートPC。東芝のノートPCでCPUはi486のDX4で秋葉原で1万円前後で売られていた物だった気がする。
そのOS無しノートPCを何とか使えるようにしようと、入れたOSがFreeBSDだった。
そう、初めて触れた自分専用PCのOSはFreeBSDだったのだ。工学部や情報学部の学生だったら大して珍しい事ではないと思うが、農学部(農業工学は除く)ではまず居ないのではないか。
ただし卒論はFreeBSD機ではなく東芝のRupoというワープロで作成した。
 
さいたま市中央区の家から少し離れたJR埼京線 北与野駅前の書楽という書店にてFreeBSD 2.2.8-RELEASEインストールキットという本を見つけ、インストールしたと思う。
今改めてこの本をAmazonで検索すると...あれ? こんな表紙だったかな? デーモン君が表紙に描かれていたような気がする...軽い違和感を覚えたが、その本は既に手元に無い為にその本であるかどうかの確証は得られず。
この本に出会ったきっかけは思い出せない。BSD界に知り合いが居た訳でもなく、知人友人が使っていた訳でもない。当時は今とは全く別の業界に居た為に勤務先でBSDの存在を知るわけでも無く。本代だけでOSが入手出来たからではないか。
ノートPCにインストールしたFreeBSDがインターネットに接続可能にする為に、PAOで何かごにょごにょしたような気がする。
当時書いていた今は無きteacupブログによると、FreeBSDの第一次熱中期間は2004年までの間のようだ。2.2.8-Rの次は3.xを越して4.1を使っていた模様。
 
中古で入手した東芝ノートPCは重たく持ち運びに不便だった。筐体の重たさに辟易し、次に入手した中古のノートPC ThinkPad 570にもFreeBSDをインストール。
cshでちょこっとしたスクリプトを書いて自己満足していた。
Window ManagerはAfterSTEPというNextSTEPのような外観のやつ。エディタはvi。
Webブラウザは何だったか覚えていない。Lynxと他に何か使っていた筈だ。当時はFirefoxもGoogle Chromeも無かった為、FreeBSDで使えるWebブラウザに選択肢はあまり無かったと思う。
その頃はお金が無かったからWindowsやMacではなくFreeBSDを常用していた。当時はMS Officeを使うような仕事をしていなかった為、FreeBSDでも支障を来たさなかった。
 
当時はアスキー社のBSD Magazineを愛読していた。No.1からほぼ全刊購入。
BSD界の著名人へのインタビュー記事と、焼肉のコーナーが好きだった。
付録のステッカーは2年ほど前まで大切に保管していたが、今はHP2133にべたべた貼り付けてある。
 
 
Debian GNU/Linux熱中期 2002~2006年
2002年頃に突如Debian JP ProjectからインストールCD(?)を購入し、ThinkPad 570に入れて遊び始めた。これが初めてのLinuxだと思う。
何故Debianを選択したのか覚えていない。Vine Linuxや今は無きTurbo Linuxも入れてみたが、何故かDebianで落ち着いた。
Debian GNU/Linux 3.0 (woody)。Window ManagerはFreeBSDと同じくAfterSTEP。エディタはvi。
AfterSTEPの設定内容はFreeBSDのものを使いまわし。設定ファイルはsteprcのはず。
参考書は武藤さんのDebian GNU/Linux徹底入門だった気がする。
しばらくいじって慣れた後、東芝のLibretto 100というネットブック(死語)よりも小さなノートPCにDebian GNU/Linuxをインストールしカーネルをいじりまくった。カーネルの軽量化とLibretto 100への最適化。kernel.orgに頻繁にアクセスし、マイナーバージョンであっても上がったらダウンロードしカーネルの再構築。カーネルだけでなくbashやgccやglibc等のツールやライブラリを全てソースからコンパイルし、make、make installしてインストールやアップデートしていた。
コンパイルが通らなかったらMakefileやソースをいじって再トライ。
あれこれいじりまくっているうちに、woodyは名ばかりで原型を留めていない謎のDebian GNU/Linuxになっていた。Linuxをいじっていて最も楽しかった頃だった。Libretto時代がLinuxに最ものめり込んでいた頃だろう。当時は本当に楽しかった。
通信環境はPCカードタイプのAirEdge、WebブラウザはFireBird(Firefoxの前身)かDillo。
カーネルのアップデートが失敗し起動時にコケても、KNOPPIXで救出し謎Debianで遊び続けた。
FreeBSDと同様にシェル(bash)でスクリプト書いて変なツールを作ってた。シェルスクリプトを全く書いていない今となってはとても無理だ。
ところがある日、LibrettoのHDD故障と思われる事象によりし謎Debianは起動出来なくなり、そこでDebian熱はぷっつりと途絶えた。
 
当時はLinux Magazine (Linux World?)という雑誌を読んでいた。
BSD Magazineよりビジネス色が強かったような気がする以外、記事の内容は覚えていない。KNOPPIXのCDはLinux Magazineの付録で入手したと思う。
 
Windows機は2004年に購入。今居る業界への転職を機にThinkPad A51の中古機を大宮駅前のソフマップで購入したような気がする。
いや、ThinkPad 570をもう一台中古で購入した気もしない訳ではない。どちらにせよWindows 2000が動作していた。
 
 
意欲衰退期 2006~2016年
Vine LinuxやFedora Coreに浮気する時期は有ったものの、Window Managerを立ち上げてすぐお終い、といった感じでFreeBSDやLinuxに夢中にならなくなった。
Debian熱が消えると同時に、カーネルやツールの最適化を全くやらなくなった。シェルスクリプトを全く書かなくなった。
その後、業務に関わるCisco SystemsやJuniper Networksなどの通信機器いじりに夢中になり、家で使用するコンピュータはWindows機がメインになり、LinuxやFreeBSDはたまに思い出す程度でノートPCを立ち上げてすぐ落とす程度となっていた。

2009年、ASUSの小さなノートPCであるEeePC 701SD-Xを中古で入手し、EeePC向けのUbuntuベースのLinuxディストリビューションEasyPeasyを入れて、Linux熱が少しだけ再燃した。
その後はEeePCにUbuntu 8.4を入れて遊ぶようになったが、かつてのようにカーネルやツールをいじる事無く、シェルスクリプトを書く事無く、そのうち使わなくなっていった。
 
 
第二次FreeBSD熱中期 2016年~
2016年の5月に、突如FreeBSD熱が再発する。FreeBSDの第二次熱中期間に突入。
当時、業務で触れていたCitrixのNetScalerというロードバランサのOSがFreeBSDベースだった事が有り、再びFreeBSDに触れる事となる。
今度はHPの小さなノートPC HP2133にFreeBSD 9.3をインストールした。
ところが...
Portsだのパッケージだのpkgだの... 2.2.8や4.1の頃と様子が違っている事に戸惑う。
インストール直後から普通にNICを認識し、しかもネットに繋がる事に驚く。
高負荷の状態になると、たまにOSごと落ちる事に戸惑う。
Linux陣営に押されまくってFreeBSD陣営は息絶え絶えに近い状態であった事に驚く。
応援の気持ちでFreeBSD Projectに寄付をしたら、ステッカーやパーカーが送られてきた。
家の押入れを整理したら、デーモン君人形やデーモン君の缶バッジやFreeBSD 5.1のインストールCDセットが出てきた。
Tux君人形やLinux InsideのステッカーやRMSの本等も出てきた。
GoogleでFreeBSDを検索すると、新しい情報が少ないように思えた。
 
 
Alpine Linux熱中期 2020年~
そして2020年、古いAndroidタブレットのNexus7にAlpine Linuxを仮想マシンとして入れて遊び始めた。
Alpine Linuxを知ったきっかけは、Androidのスマホやタブレットで動かせる軽量なLinuxディストリビューションを探す為にGoogleで軽量Linuxと検索したら、その時は一番上にAlpine Linuxが出てきた事だった。
isoファイルの容量が100M前後というのに驚いた。20年程前のDebian GNU/Linux (woody)でさえ600MBを超えていたというのに!
エミュレータでゲストOSの使用RAMを128MBに設定してもきちんと動作する事に驚いた。UbuntuやRHELなど今時の主流なディストリビューションだと128MBは厳しい!
新型コロナウイルス絡みの外出自粛時の暇つぶしに役に立っている。勿論、課金ゼロだからいくらでも遊べる!
 
かつてのようにカーネルやツールを最適化して遊ぶ気力はほぼゼロなのだが、vsftpdの導入に伴いサーバのトラブルシューティングで使うコマンド達をいくつもインストールした。
Window Managerは入れていない。CLIのみ。
今後、家庭LAN内のFTPサーバとして、あるいは持ち歩けるFTPサーバとして、はたまたLPICの復習台として、Nexus7が使えなくなるまで活躍するだろう。
デフォルトのシェルをashからbashに変えた。久々にシェルスクリプトを書いてみようと思う。
 
 
何故UNIX系OSを使い続ける?
FreeBSDとLinuxを行ったり来たりしつつもUNIX系OSを使い続ける原動力は何だろう。
2000年代初頭に心の中に抱いていたアンチMSとかフリーソフトウェア万歳とか周囲のMSユーザに対する優越感とか...そんな感情はいつの間にか無くなり、使っていて楽しいからという理由が残っている事に気が付いた。
自分の好きなようにインストールし自分好みの環境にカスタマイズし家庭環境で勝手にサーバ立てて...タミヤや京商の組み立て式のラジコンと似たような感覚なのだろう。
楽しいという気持ちが続く限り、まだ使い続けるだろう。
それから、仕事でUNIX系OSのサーバにあまり触れていない事も要因の1つだろう。自分がネットワーク屋ではなくサーバ屋だったら家では使っていなかっただろう。
 
 
今後は?
UNIX系OSが存在する限り、FreeBSDもLinuxも止めないと思う。
最近は小さいサイズのLinuxに注目をしているが、Linux上で動作するUnikernelなOSにも興味がある。MirageOSも少しかじってみようか。

 

https://www.amazon.co.jp/dp/4873110734/ 入門csh&tcsh
https://www.amazon.co.jp/dp/4839901546/ FreeBSD 2.2.8‐RELEASE インストールキット
https://www.amazon.co.jp/dp/4756132286/ BSD Magazine
https://www.amazon.co.jp/dp/4798102865/ Debian GNU/Linux徹底入門
https://www.amazon.co.jp/dp/4774150479/ FreeBSD サーバ構築・運用ガイド
https://www.amazon.co.jp/dp/B00O56CFEE/ The Design and Implementation of the FreeBSD Operating System SECOND EDITION
http://www.jp.freebsd.org/PAO/index-j.html
 
https://www.freebsd.org/ FreeBSD.org
https://www.debian.org/ Debian.org
https://ubuntu.com/ Ubuntu Linux
https://alpinelinux.org/ Alpine Linux
https://mirage.io/ MirageOS