約15年もの間放置していたLPIC Level1の認定を更新する為、LPIC 102試験を受験し合格した。LPICとはLinux Professional Institute Certification(Linux技術者認定試験)の略称で、カナダに本部を置くLinux Professional Instituteによって運営されている世界共通の認定資格である。
2004年に初めてLPIC Level1の認定を受けた時と比較すると、2004年当時はLPIC 102試験は1回不合格だったものの、業務経験が有るにも関わらず今回の方が苦労した印象が強かった。
当記事では、約3ヶ月の間に実施した試験勉強の内容を記した。
なお、当記事の内容はあくまでも今の自分のLPICの試験勉強のスタイルに合った学習方法であり、読者の皆様の生活スタイルや性格などによっては合わない学習方法である事も考えられる為、あくまでも参考程度に留めて頂きたい。
LPIC 102試験の受験の目的
2004年に取得したLPIC Level1の更新。
更新目的で2021年12月にLPIC 101試験に合格したが、3ヶ月程前にLPIのマイページにログインし自分の認定情報を確認したらLPIC Level1認定が更新されていない事に気が付き、LPIC 102試験の勉強を開始した。
試験勉強開始前のスキル
1.業務でOracle Linuxに触れている
かつては通信事業者のネットワークの構築や運用、データセンタ内のネットワークの設計、ゼロトラスト ネットワークサービス(Zscaler)の運用に携わっていたが、今はOracle LinuxとWindows Serverで動いている某サービスの構築と運用に携わっている。
2.以前は自宅環境でもLinuxで構築したサーバを運用していた
今は自宅環境のサーバの殆どがOpenBSDに置き換わっているが、2002年にDebian GNU/Linuxに触れ始めて以降、Window Manager(AfterSTEP)を導入したりSFTPサーバやSambaサーバを自宅ネットワーク用に構築および運用をしてきた。
今回の試験学習の内容
LPIC 101の試験学習環境だったら、Oracle Linux 8.xとDebian GNU/Linux 11.xを導入しただろう。
しかしLPIC 102ではyumコマンドやaptコマンドは出題範囲外でRed Hat系やDebian系等を意識する必要は殆ど無い為、VirtualBoxで以前から稼働しているDebian GNU/Linuxをそのまま流用した。
1.学習環境
macOS 10.13.6 / MacBook Air 2011 / RAM: 4GB / CPU: Intel Core i7 1.8GHz / Oracle VirtualBox 6.1.50
SONY Xperia 1 / Limbo PC Emulator 2.10.0 ※低頻度
iPhone X / iSH 1.3.2 ※低頻度
2.練習台
Debian GNU/Linux 11.1(bullseye):VirtualBoxのゲストマシン
Debian GNU/Linux 9.13(stretch):Android端末で動くLimbo PC Emulatorのゲストマシン
Alpine Linux 3.14:iPhoneやiPadで動くAlpine LinuxエミュレータアプリiSH
3.出題内容とインストールするパッケージについて
デーモン(サービス)管理について。主要なLinuxディストリビューションではinetdやxinetdではなくsystemdが稼働しているが、問題集や実際の試験問題ではxinetdに関する内容が出題される。xinetdに関しては問題集やPing-t上での学習に留めた。
X Window Systemと印刷環境とメールサーバについて。VirtualBox内で稼働しているLinuxは家庭内用のファイルサーバとして運用している為、X Window Systemやcups周りやsendmail周りのパッケージはインストールせず、問題集やPing-t上での学習に留めた。
Debian GNU/Linuxはインストール直後の段階では、問題集や実際の試験問題で散見されたいくつかのコマンドが実行出来ない為に、以下のコマンドで予めインストールする。
apt install network-manager net-tools lsof
4.使用した問題集
LPICレベル1スピードマスター問題集(白本)
Ping-t
家で勉強する際はVirtualBoxでDebian bullseyeを立ち上げて、上記の白本やPing-tにて記載されていたコマンドやコマンドのオプションや設定ファイルの内容などを確認した。
家で横になっている時や電車の車内等で突如気になる事が浮かんできたら、AndroidスマホにインストールされているLimbo PC EmulatorでDebian stretchを立ち上げて、コマンドのオプションや設定ファイルの内容の確認を実施した。
登山の際にYAMAP専用端末(回線契約無し)として持参しているiPhoneに、暇つぶし用としてAlpine LinuxエミュレータiSHをインストールした。動作は軽快且つ安定しておりLimbo PC Emulatorより見やすいCLIではあるが、ファイルやディレクトリの構成がRed Hat系やDebian系のLinuxディストリビューションと異なる所が散見される為、コマンドのオプションや.bashrcや.profileの内容等の確認程度に留めている。iSHを試験勉強用で使用するとしたら、LPIC 102よりも101向きだと思われる。
5.学習期間および学習内容
LPIC 102の試験勉強開始から試験当日までの期間は約3ヶ月間。ネットワーク周りのコマンドに関してはこれまでの業務経験を生かす事が出来たが、他の分野は解いて解いて解きまくり、上記の環境で叩けるコマンドは叩きまくって頭の中に叩き込んだ。
集中力が無くだらけてしまう場合は、気分転換として短時間の筋トレで体を動かした。筋トレの内容は下記の参照サイト内のリンク先を参照。嬉しい事に副産物として、腹回りが少しすっきりした。
学習開始〜試験日1ヶ月前までの間。
白本は学習開始直後は1つの章(星1つ〜星3つの問題)を1〜2日のペースで進め、内容が頭の中に入ってきたら徐々に量を増やし、2〜3つの章を1日で進めるといった感じ。正誤関係なく解説文を熟読。
Ping-tはLPIC 102の全範囲の問題を問題文や解説が頭の中に残る程に解いて解いて解きまくった。
試験日1週間前以降。
白本は星3つの問題と模擬試験問題を何度も解きまくり、自身が無い設問は正誤関係無く解説文を熟読。
Ping-tはコマ問を解きまくった。
試験の結果
新宿駅西口から徒歩7分程度の場所にある、ピアソンVUEテストセンター(西新宿テストセンター)にて受験。
試験開始前の画面で既に一部の日本語が変だったが、意訳で何とかなった。
40分程で完了し、結果は合格。8割程の正答率だった。
振り返り
LPIC Level1の初認定当時は29歳で、当時は覚えている事は頭の中からすらすらと出てくる上、オプション付きで難無く叩けるコマンドの数も多く、コマンドの出力内容も学習した範囲内では理解出来ていた。
そして今回。49歳の今、初めて覚える内容はその時やその日は覚えても数日後、酷い場合は翌日には頭の中からなかなか出てこない。
ならば頭の中と指に染み込ませるしか無いという事で、コマンドは叩いて叩いて叩きまくり、内容および意味はひたすらメモしメモの写経し...という感じで試験当日までに頭の中に定着させる事に励んだ。
結果として想定以上の高得点でLPIC 102試験の合格という流れになったが、試験勉強で頭の中に叩き込んだ内容が10日後や1ヶ月後も頭の中に残っているかどうかは、LPIC Level2への進出の意欲次第。
LPIC 102合格翌日に自アカウントでLPIのサイトにアクセスし、認定書をダウンロードした。認定書に記載されている日付は、更新日ではなく認定取得日だった。
参照サイト
https://www.lpi.org/ja/ LPI - Linux Professional Institute
https://www.amazon.co.jp/dp/4798160857/ LPICレベル1スピードマスター問題集
https://mondai.ping-t.com/ Ping-t(LPIC 102は有料)
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20200509/1589032166 外出自粛で暇なのでUNIX系OSの使用遍歴を振り返る
https://www.youtube.com/watch?v=o5vb430_m38 なかやまきんに君 自宅で筋トレ 10種目10分間