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YAMAHAの仮想ルータ vRX for VMware ESXiを試用する - 導入編①

企業向けのルータやファイアウォール製品を開発・販売してきたヤマハ株式会社が、2019年に仮想ルータvRXの販売を発表。当初はAWS版のみだったが2020年にはVMware ESXi版の販売が開始された。
YAMAHA vRXは、Cisco CSR1000VやVyOSなどといった仮想ルータと同様にクラウドサービスやオンプレミスの仮想環境におけるエッジルータとしての役割を担う。ヤマハにてこれまでに提供され続けてきたルータとの間でソフトウェア面で多くの機能が共通化されており、ヤマハのルータのユーザにとって難無く導入および運用が可能なものになっている。

当環境ではVMware ESXi版を使用。vRXをVMware Fusion上で動作するVMware ESXiにデプロイし利用開始に至るまでの手順が多くなった為、ブログ記事を2つに分けた。
導入編①ではvRXを動作させる環境であるVMware ESXiのインストールと無償版ライセンスの適用まで進め、導入編②ではvRXのVMware ESXiへのデプロイを完了させた。
尚、YAMAHA vRXのデプロイや初期設定およびVPNの設定に関しては、当記事の下部に有る「関連記事」を参照。


当方の環境
ホスト機:macOS 13.5.2 / MacBook Pro 2020 / RAM: 16GB / CPU: Intel Core i5 2.0GHz
VMware Fusion 12.2.5
VMware ESXi 7.0U3n
ゲスト機:YAMAHA vRX 19.01.09
YAMAHA vRXが使用する仮想RAMはコンパクトモードで4GB、通常モードで8GB使用する為、快適に動作させるにはホストOS側のRAMは最低でも16GBは欲しいところだ。


YAMAHA vRXインストールの流れ
VMware ESXi環境にてYAMAHA vRXの運用を開始するまでには、以下の作業が必要となる。
まず最初に、VMware ESXiの動作環境としてVMware Fusionをホスト機(PC)にインストール、続いてVMware ESXiをVMware Fusionにインストール、YAMAHA vRXをVMware ESXiにデプロイ...という流れとなる。
当方の環境ではVMware ESXiを動かす為の環境としてVMware Fusionが既に導入済みである為、当記事ではVMware Fusionのインストール手順に関しては記載はしない。
 1.VMware ESXiの稼働環境の構築
 2.VMware ESXiのインストール
 3.YAMAHA vRXのデプロイ

尚、YAMAHA vRXの仮想ネットワークアダプタはVMXNET3のみ対応。Oracle VirtualBox環境では正常にデプロイ出来ない。VirtualBoxにて仮想ネットワークアダプタをvirtio-netに設定すると「no active NIC exists」のエラーを吐いてデプロイが止まり、Intel PRO/1000 MT DesktopやPCnet FastIII等に設定すると「system will reboot due to fatal error」のエラーを吐いて延々と再起動を繰り返す。


VMware ESXiインストールの前に
VMware ESXi(VMware vSphere Hypervisor)のインストーラのダウンロードと無償版ライセンスキーの取得は、以下のサイトにて行う。
VMwareのユーザアカウントを持っていない場合は以下のリンク先の「アカウントの作成」をクリックし、ログイン前にアカウントを作成する。
アカウントの作成後、作成したアカウントでログインし、インストーラのisoファイル(当方の環境ではVMware-VMvisor-Installer-7.0U3n-21930508.x86_64.iso)をダウンロード。そしてライセンスキーの文字列をテキストファイルか何かにコピー&ペーストで貼り付けて保存する。
https://customerconnect.vmware.com/jp/evalcenter?p=free-esxi7


VMware ESXiのインストール
始めに、vRXのデプロイの下準備としてVMware ESXiのインストールに取り掛かる。
VMware Fusionを立ち上げ、メニュー内の「ウインドウ」「仮想マシンのライブラリ」の順にクリック。
VMware Fusionにデプロイ済みの仮想マシン一覧のウインドウが表示される。


 
仮想マシンのライブラリのウインドウ内左上の「+」をクリックし「新規」を選択。


 
「インストール方法を選択」のウインドウ内に有る「ディスクまたはイメージからインストール」の枠内に、VMWare ESXiのインストーラーの.isoファイルをドラッグ&ドロップ。その後、同ウインドウ内右下の「続ける」をクリック。


 
「ファームウェア タイプを選択」のウインドウ内の「ブート ファームウェアの指定」は「UEFI」のまま「続ける」をクリック。


 
「終了」のウインドウ内右下の「終了」をクリックする前に、仮想マシン名を変更する為「設定のカスタマイズ」をクリック。
「名前」欄内に任意の文字列を入力し「保存」をクリック。


 
「終了」ウインドウが消え、仮想マシンのウインドウと仮想マシンの設定画面が表示される。
自分の場合、仮想マシン(当記事ではVMware ESXi)の設定画面にてネットワークアダプタとハードディスクとメモリの設定を変更。

上の画像の仮想マシンの設定画面について。
①「取外し可能デバイス」欄の「ネットワークアダプタ」をクリック。「ネットワークアダプタを接続」ウインドウ内左側ので選択されている「Macを共有」から「Wi-Fi」に変更。ウインドウ内左上の「すべてを表示」をクリック。
② ネットワークアダプタの追加方法。設定画面の右上に有る「デバイスを追加...」をクリックし、「ネットワークアダプタ」から「追加」をクリック。「ネットワークアダプタを接続」ウインドウ内左側ので選択されている「Macを共有」から「Macをプライベート」に変更。
ウインドウ内左上の「すべてを表示」をクリック。当手順をもう一度繰り返し、ネットワークアダプタを3つにする。
③ VMware ESXiとYAMAHA vRXが使うメモリの設定方法。設定画面の「システム設定」欄に有る「プロセッサとメモリ」をクリック。メモリを10240MB(10GB)に変更し、ウインドウ内左上の「すべてを選択」をクリック。
④ VMware ESXiとYAMAHA vRXが使うハードディスクの設定方法。設定画面の「取外し可能デバイス」欄内の「ハードディスク(SCSI)」をクリック。ディスク サイズを160GB程に修正し、「適用」をクリック。適用されたら設定画面を消して仮想マシンのウインドウだけ残す。
※YAMAHA vRXをコンパクトモードで動かすのであれば、ディスクサイズは修正前の140GBで充分かも。
 
仮想マシンのウインドウ内の真ん中に有る三角ボタンをクリックし、VMware ESXiのインストールを開始する。


 
インストールの途中でグレーと黄色の画面から黒の画面に変わり、起動ログがいくつか表示される。
暫くすると「Welcome to the VMware ESXi 7.0.3 Installation」のウインドウが表示される。このままインストールを続ける為、Enterキーを叩く。


 
「End User License Agreement (EULA)」のウインドウが表示される。
インストールを続ける際はF11キーを叩く。
PCのF11キーを叩いても先に進まない場合は「VMware Fusion」メニューから「仮想マシン」「キーの送信」の順に進み「F11」を選択すると当画面から先に進む事が出来る。


 
Select a Disk to Install or Upgrade」のウインドウが表示される。
VMware ESXiを初めてインストールする為、Enterキーを叩く。


 
「Please select a keyboard layout」のウインドウが表示される。「Japanese」を選択しEnterキーを叩く。


 
「Enter a root password」のウインドウが表示される。
ここではVMware ESXiのrootアカウントのパスワードを設定する。
「Root password:」にて任意の文字列を入力し下矢印キーで「Confirm password:」に移動。Root passwordで入力した文字列を入力し、Enterキーを叩く。


 
「Confirm Install」のウインドウが表示される。
上記にて設定した内容で問題が無ければ、F11キーを叩く、もしくは「VMware Fusion」メニューから「仮想マシン」「キーの送信」の順に進み「F11」を選択し先に進む。
設定を変更したい場合はF9キーまたはEscキーを叩いて戻る事が可能。


 
VMware ESXiのインストールが完了すると「Installation Complete」のウインドウが表示される。
黄色い文字で「Remove the installation media before rebooting.」と表示されている。
仮想マシンのウインドウ上部にあるCD/DVDドライブのようなアイコンをクリックしながらマウスカーソルを下に移動し、「CD/DVDを切断」を選択。
その後、Enterキーを叩いてVMware ESXiを再起動させる。


 
再起動完了。VMware ESXiのインストールは無事に成功した。
VMware ESXiにアサインされているIPアドレスはDHCPによる自動割り当てとなっている。
当環境では手動でIPアドレスをアサインしたい為、F2キーを叩いて設定画面に移動する。


 
VMware ESXiへのログイン時、Login nameとPasswordの入力が求められる。
Login nameはrootのまま変更無し。Passwordは上記にて設定した文字列を入力し、Enterキーを叩く。


 
VMware ESXiの「System Customization」の画面に遷移する。
画面内左側の「Configure Management Network」を選択し、Enterキーを叩く。


 
「Configure Management Network」の画面に遷移する。
当画面内の「IPv4 Configuration」を選択し、Enterキーを叩く。
引き続き、「IPv4 Configuration」のウインドウ内にて「Set static IPv4 address and network configuration:」を選択しSpaceキーを叩いてカッコ内に丸を付ける。
「IPv4 Address」「Subnet Mask」「Default Gateway」に任意の値を入力し、Enterキーを叩く。


 
「Configure Management Network」の画面に戻る。
DNSサーバやVMware ESXiのホスト名を変更する場合は「DNS Configuration」を選択しEnterキーを叩く。
引き続き、「DNS Configuration」のウインドウ内にて「Use the following DNS server addresses and hostname:」を選択しSpaceキーを叩いてカッコ内に丸を付ける。
「Primary DNS Server」「Alternate DNS Server」「Hostname」に任意の値や文字列を入力し、Enterキーを叩く。


 
「Configure Management Network」の画面に戻る。他に設定箇所が無ければEscキーを叩く。
「Condifure Management Network: Confirm」のウインドウが表示される。設定内容に問題が無ければ Yキーを叩いてVMware ESXiを再起動させ、設定内容を反映させる。


 
再起動の完了後、VMware ESXiの「System Customization」のウインドウに遷移する。
画面左側にて「Configure Management Networl」を選択し、画面右側にてHostnameとIPv4 Addressの内容が反映されている事を確認。
※当画面ではDNSサーバのアドレスは見る事が出来ない。


 
ホスト機(当環境ではMacBook Pro)からVMware ESXiにアクセスを試みる。
ホスト機側にてWebブラウザを立ち上げ、上記にて設定したIPアドレスにHTTPSでアクセスする。
アクセスが出来ると、ESXi Host Client経由で以下の画像の内容がWebブラウザ上に表示される。
ユーザ名とパスワードは、VMware ESXiのグレーと黄色の画面にログインする際と同じ文字列である。


 
ログイン完了。
この段階ではVMware ESXiはライセンス無しの状態で動作している為、60日後に評価ライセンスが切れる。60日後も利用し続ける場合は無償版のライセンスを適用させる必要が有る。


 
VMware ESXiのダウンロード時にメモしたライセンスキーを適用させ、無償版のライセンスに移行させる。
ESXi Host Clientの画面内左側の「ナビゲータ」内の「管理」をクリック。
続いて画面左側の上部にある「ライセンス」をクリックし、「ライセンスの割り当て」を選択。
「ライセンスの割り当て」のウインドウが表示されたら、「ライセンスキー」枠内にライセンスキーの文字列を貼り付けて「ライセンスの確認」をクリック。貼り付けた文字列に問題が無ければ「ライセンス キーはvSphere 7 Hypervisorに対して有効です」が表示される。「ライセンスの割り当て」をクリックし、ライセンスを適用させる。


 

今回はここまで。
F11キーやF12キーを叩かなければならない場面で、叩いたらVMware ESXiのウインドウが画面から消えて驚いたが、メニューから選択しソフトウェアキーボードのように打てる事にすぐ気が付いた為に、VMware ESXiのインストールは難無く終える事が出来た。

ここまで来れば、とりあえずVMware ESXiのインストールおよび無償版ライセンスの適用は完了となる。
次回はVMware ESXiにYAMAHA vRXをデプロイする手順となる。YAMAHA vRXの.ovaファイルの入手およびデプロイ手順に関しては、次回の記事「YAMAHAの仮想ルータ vRX for VMware ESXiを試用する - 導入編②」を参照。

次回の記事:https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20230918/1694996291 YAMAHAの仮想ルータ vRX for VMware ESXiを試用する - 導入編②


あれ? VCSAは?
VCSA(vCenter Server Appliance)は、インストールの途中で表示されるDeployment Sizeを見て断念しました。自分が所有するWindows機とmacOS機共に、Tinyサイズ(Memory 12GB, Storage 463GB)でも厳しいです...


参照サイト
https://www.vmware.com/jp/products/fusion.html VMware Fusion
https://customerconnect.vmware.com/jp/evalcenter?p=free-esxi7 VMware ESXi
https://network.yamaha.com/products/software_service/vrx/index YAMAHA vRX
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/docs/vrx/index.html 仮想ルーター vRX
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1200344.html ヤマハが待望の仮想ルータ「vRX」を正式発表
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1289883.html ヤマハ、仮想ルータ「vRX」のVMware版を提供
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20201118-1506371/ ヤマハ 仮想ルーター「vRX」にVMware ESXi版
 

関連記事
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