2週間程前、都内で最も高い場所に設置されているサーバはどこにあるのかを考えていた。
その中で「都内で最も標高の高い場所にあるデータセンタ」「都内で最も高いビル」「都内で最も高い建造物」という、3つの観点から整理した。
都内で最も標高の高い場所にあるデータセンタについては所在地と標高を調査する事である程度確認する事ができた。一方で、都内で最も高いビルや建造物については、内部にサーバが設置されているかどうか、また設置されている場合にどの階に存在するかまでは確認できないため、あくまで想像を含んだ内容にはなるものの候補としては以下の3カ所が挙げられるだろう。
① 都内で最も高いところにあるデータセンタ:Telehouse TOKYO Tama 3(KDDI)
所在地:東京都多摩市唐木田3丁目
標高:152m
散歩道として地域の方々に利用されている「よこやまの道」沿いにある
② 都内で最も高いビル:麻布台ヒルズ森JPタワー(約330m)
所在地:東京都港区麻布台1丁目3−1
標高約:26m
最上階にサーバが稼働しているとしたら標高350〜360m
③ 都内で最も高い建造物:東京スカイツリー(634m)
所在地:東京都墨田区押上1丁目1−2
標高:1m前後
最上部はアンテナ設備であるため、サーバは設置されていないだろう
スカイツリーの最上部にはサーバが稼働可能な場所は無いと思われるが、地上から360m程の高さの場所には、テレビやラジオ局の送信所や通信アンテナ、大学・研究機関の観測装置が設置されているという事なので、何かしらのサーバが稼働している事が考えられる。それが正しければ、現段階で都内で一番高い場所にあるサーバはスカイツリーにて稼働しているサーバなのかもしれない。
どこでやる?
山の頂上であれば自分でも出来るだろうという事で、上記の3つより更に高い場所を考えてみた。
大岳山、鷹ノ巣山、七ツ石山、小雲取山、芋木ノドッケ、雲取山...等のような奥多摩の山々が頭の中に浮かぶ。
高尾山(標高599m)だと東京スカイツリーより低い。陣馬山(標高855m)だと東京スカイツリーより200m程しか高くない。大岳山(標高1266m)の山頂は人が多い...だったら東京都内で最も高い山の山頂でサーバを稼働させてみようという事で、日帰りで、雲取山(標高2017m)に登り山頂にてサーバを稼働させてみる事にした。
雲取山とは?
東京都、埼玉県、山梨県の境界にある標高2017m、東京都の最高峰そして最西端の山である。
秩父多摩甲斐国立公園の代表的な山の一つ。日本百名山、多摩百山、山梨百名山に選ばれている。
山梨県北都留郡丹波山村の鴨沢集落を起点とする鴨沢ルート、埼玉県秩父市三峰の三峰神社を起点とする三峰ルートが多くの登山者に利用されており、自分も過去に何度か鴨沢ルートから登った事がある山である。

雲取山の山頂標。東京都と埼玉県が設置したもの。
山梨県が設置した山頂標は雲取山避難小屋の近くにある。
雲取山のどこでサーバを稼働させる?
続いて、雲取山のどの場所にてサーバを稼働させるか考えた。以下の2点が挙げられる。
① 雲取山避難小屋
② 雲取山の山頂
まずは雲取山の山頂付近にある雲取山避難小屋(東京都西多摩郡奥多摩町日原1028、標高2004m)の中での稼働を考えた。常駐の管理人無し、入館申請不要、セキュリティチェック無し、温湿度管理無し、電源は自分で確保...という、データセンタとしてはダメダメな環境ではあるが、直射日光や雨や土埃を避けられるという利点がある。
ところが、避難小屋の利用について東京都の奥多摩ビジターセンターのサイトにて詳細を確認したところ、「緊急時以外の使用はご遠慮ください」の記載があったために断念。
更にダメダメな屋外環境での稼働になるが、雲取山の山頂付近にてファイルサーバを稼働させる事にした。
携行物品(登山用具以外)
以下のものを持参。ただし土埃を筐体に吹き付けたくなかったため、ガチャポンのデスクトップサーキュレータは使わなかった。筐体と作業用端末の未使用USBポートやケーブル差し込み口には防塵用のゴム製のキャップを装着し、土埃や砂などの付着を防いだ。
作業用端末として使用するMacBook Air 2011の最高動作高度は3048m、最高保管高度は4572mにつき、雲取山の山頂での動作には問題無い事は確認済み。
筐体:Raspberry Pi 3B(SoC:Broadcom BCM2837 / CPU:ARM Cortex-A53 1.2GHz / RAM:1GB / ストレージ:SanDisk MicroSD 32G)
OS:Alpine Linux 3.23.4 aarch64版(インストール済み)
サーバ:Samba 4.22.8でファイルサーバ
電源:アウトドア用モバイルバッテリー x2本
空調:ガチャポンで購入したデスクトップサーキュレータ x1個
防塵キャップ(USB / HDMI / LANの各ポート用):MyDNS.JPへの寄付の返礼品
作業用端末:MacBook Air 2011
その他:LANケーブル3本、USB電源で動作する小型ハブ、レンズブルワー

Alpine Linuxの公式サイト。
Alpine Linuxはセキュリティ、シンプルさ、リソース効率を重視した設計になっている。
今回のサーバについて
手のひらサイズのシングルボードコンピュータ、Raspberry Pi 3Bを使用。家の中ではRaspberry Pi 4Bをメインで使用している事から、今や退役状態につき壊れても精神的なダメージが少ないRaspberry Pi 3Bを雲取山の山頂で稼働させる事とした。
OSは低スペックなハードウェア環境でも軽快に動作するAlpine Linuxを使用。Alpine Linuxにて動作させるファイルサーバとして、ファイル共有ツールとして広く利用されているSambaを導入した。
サーバの基本的な設定や動作確認は雲取山登山の数日前までに終わらせ、細かな設定やSambaの動作確認は雲取山の山頂にて実施した。
Raspberry Piは基盤が剥き出しになっている事から、衝撃や土埃などから保護する為にRaspberry Pi専用のアルミ製のケースに入れて持ち運び、運用した。

都内で一番高い所、標高2017mの環境で稼働しているファイルサーバ。
ケースの中にRaspberry Pi 3B、手前にある物はアウトドア用モバイルバッテリー。
後になって、雲取山避難小屋の軒下でやればよかった事に気が付く...
サーバの設置から稼働、撤収まで
そして当日。登山用にいつもチェックしている天気サイト「山の天気」「てんきとくらす 高原・山」は共に絶好の登山日和(ただし平地は夏日)。
計画どおり雲取山登山を進める事にした。
JR青梅線の奥多摩駅から西東京バス 鴨沢西行きのバスに乗車。
山梨県北都留郡丹波山村の鴨沢集落ある鴨沢バス停から、雲取山への一般的なルートである鴨沢ルートをひたすら登り、4時間ほどで雲取山の山頂に到着。
雲取山の山頂に到着し山頂標や周囲の風景を撮影した後、他の登山者の邪魔にならないような場所でRaspberri Piやモバイルバッテリーが置けそうな岩を見つけ、倒れないようRaspberry Piを置く。屋外での作業は20年ぶりである。当時は業務で実施したもので、防水防塵なボックスの中にあるネットワーク機器の設定作業だったが、今回はお遊びではあるものの本体丸出しな環境だ。Raspberry Piと作業用端末の電源を投入し、互いにLANケーブルで接続。
Alpine LinuxにSSHでログインした後neofetchでステータスの確認、作業用端末からサーバ内の共有ディレクトリにアクセスし、共有ディレクトリ内にファイルを置いたり削除したり、コマンド叩いてログを見たり...と動作確認を実施。
その後、昼飯を食べながら誰かしらの接続を待っていたが当然の事ながら誰も接続してこない上、土埃や日差しが気になるため予定より少し早めにサーバをシャットダウンし、片付けを開始。
片付けが終わり次第、雲取山から下山開始。途中で七ツ石小屋に寄り道し水の確保と小休憩。往路と同じ鴨沢ルートを下り、夕方になる前に鴨沢バス停に戻ることができた。往復23.5kmを7時間少々で歩ききった。
今回の活動時間およびサーバの稼働時間は以下のとおり。
日時:2026年5月17日(日)
登り:約4時間
サーバの稼働時間:約20分
下り:約3時間
帰りの奥多摩駅行きのバスの中で知った事だが、同じ日に六ツ石山の周辺にて登山者がツキノワグマに襲われ大怪我を負う事故が発生した。鷹ノ巣山から奥多摩駅方向に歩く際に自分がよく歩く尾根の付近で発生した事で驚いた。今回も自分は無事に下山、帰宅できて何よりである。

作業用端末にてスクリーンショットを撮る。(ホスト名とユーザ名は投稿時に加工済み)
作業用端末からファイルサーバにアクセスし、ファイルサーバ内に保存されているファイルを確認。
画面の左側はneofetchコマンドの出力内容と/etc/os-releasesファイルの内容。
設置場所としてどこが現実的?
今回はお遊びで雲取山の山頂にてファイルサーバを稼働させたが、この周辺にて実際にサーバを設置し真面目に長期間運用するとなると、以下が候補地となるだろう。
・雲取山荘:標高 1830m
・五十人平の野営場の管理棟:標高 1750m(公衆Wi-Fi環境有り)
・七ツ石小屋:標高 1597m
考慮すべき点は安定した電源の確保。雲取山荘は自家発電、五十人平の野営場の管理棟はソーラーパネルで電源そのものはあるが、24時間365日安定した電源を供給出来る保証は無い。
尚、七ツ石小屋がある場所は山梨県丹波山村になる為に当記事の対象外だが参考までに掲載。

下山中、ヨモギノ頭の山頂付近から神奈川県の方向を眺める。
画像内中央からやや左に見える七ツ石山(標高1757m)の山頂付近には、狼信仰で知られている七ツ石神社がある。
参照サイト
https://www.alpinelinux.org/ Alpine Linux
https://www.amazon.co.jp/dp/B01CD5VC92/ Raspberry Pi 3B
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CCD2W5VG/ ElectroCookie Raspberry Pi 3用のケース
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B21FFXQ9/ MicroSDカード
https://www.amazon.co.jp/dp/B09Y5B3VZS/ アウトドア用モバイルバッテリー
https://www.youtube.com/watch?v=rB_N_yNSqS4 デスクトップサーキュレーター
https://www.amazon.co.jp/dp/B09S5GJNHW/ レンズブルワー(埃除去用具)
https://support.apple.com/ja-jp/112439 MacBook Air Mid2011の技術仕様
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=3155 雲取山(山と渓谷オンライン)
https://okutamavc.ces-net.jp/shelterhut 東京都奥多摩ビジターセンター 避難小屋
https://tenki.jp/mountain/ 山の天気
https://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/ka_type.html?type=15 てんきとくらす 高原・山
https://www.nisitokyobus.co.jp/wp/wp-content/uploads/2026/03/20260401_hiking_Okutama.pdf 西東京バス ハイキング時刻表 (2026年4月1日版)
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