メモのページ - チラシの裏メモ 3枚目

通信技術や気になった事を黙々とメモし続ける

今後ともよろしく、OpenBSD

数年前、FreeBSDの開発に携わっていた方がFreeBSDの開発から離れるという内容のNoteの記事を拝見した。
FreeBSDを愛するが故の断腸の思いというものが強く感じられた事を思い出す。
自分はその方の足元にも及ばない末端ユーザーに過ぎないが、触れ始めて間もないOpenBSDに対する思いをここに残してみた。


自分は2022年の春からOpenBSDを利用し続けている。LinuxやFreeBSDは業務内外で触れていた事があるため他のUNIXライクなOSに乗り換える事は苦ではないが、家で稼働させているサーバのOSをOpenBSDに移行するなら学習意欲が有るうちにと思い、2022年5月に移行を完了させた。


最初はWindows機やMacBook AirのVirtualboxのゲストOSとしてOpenBSDを何度もデプロイし、インストール手順、特にインストール先HDDのパーティションの設定手順だけでなく、vsftpdを導入しOpenBSD環境におけるFTPサーバやFTPSサーバの運用を勉強した。
並行して、Nexus 7 (2013)というAndroidタブレットにLimbo PC Emulatorというアプリを入れてその中でゲストOSとしてOpenBSD 6.5を動かしてみたが、動作が非常に緩慢だった為、OpenBSDのバージョンを4.8にダウングレードさせて、手軽に持ち歩けるFTPサーバにした事があった。
OpenBSDのインストールやコマンドやFTPサーバの管理に慣れてきたところで、使わなくなった数台のノートPCにOpenBSD 7.2をインストール。今でも家庭内用のSFTPサーバや学習環境として稼働中である。十数年前に販売されたネットブック、ASUS EeePC 701SD-Xでさえ軽快に動作する。勿論、Xは入れてない。
10年前に販売開始になったAndroidタブレットで動くのであればハイスペックな機種のスマホSony Xperia 1ではサクサク動くだろうと考え、OpenBSD 7.2をLimbo PC EmulatorのゲストOSとし、FTPサーバのAndroidアプリに代わってSFTPサーバとして稼働させている。


PCやスマホに様々なバージョンのOpenBSDをデプロイやインストールをし続けて感じた事は、インストールが思っていた以上に直感的で簡単。ある程度のマシンスペックがあれば動作が軽快。pkg_addコマンドによるパッケージ管理が楽。デーモンの管理(rcctlコマンドは6.3以降)も楽...といったもので、サーバの構築や運用面においては、LinuxやFreeBSD等と比較しても決して難しいものでは無かった。
インストール直後は必要最低限のデーモンしか動作しない為、起動時に[ OK ]のログがたくさん出力されるRHELやCentOSより動作が軽快だ。
OpenBSDの最大の特徴であるセキュリティの堅牢さに関しては、OpenBSDの公式サイトや諸先輩ユーザの皆様がブログやSNS等で多く言及している為、ここでは割愛する。


しかし良い点ばかりではない。OpenBSDに関する話題を共有する相手が周囲に居ない点は非常に残念。
それもその筈、世界中で稼働しているWebサーバの中で*BSDのシェアは0.3%、更に*BSDの中でFreeBSDのシェアの90%台に対しOpenBSDのシェアは3%前後しか無い。
勿論、サーバはWebサーバだけでなくファイルサーバ等様々なサーバが世界中で稼働しているが、他のサーバを含めたとしてもWebサーバにおけるOpenBSDのシェア率と大して変わらないだろう。ISPの中で稼働しているOpenBSDなサーバはもう少し多いようだが。
15年程前はFreeBSDのサーバであればUNIXやLinuxやWindows程では無いがちらほらと存在していたが、今はその面影は無い。有名な所ではNetflixくらいだと思う。
Linuxだと情報共有する相手が勤務先やかつての常駐先に居た。業務内容とは関係無さそうな小ネタが通じる人となると少し減るものの居るだけマシだった。FreeBSDだと10年程前に2名居たが、NetBSDやOpenBSDは皆無。ネットワーク屋だから仕方無いか。
20年程前に存在していたアスキー社のBSD Magazineを読んでいた者はOpenBSDは知っていると思うが、今の若い同業者の多くはFreeBSDは聞いた事は有ってもOpenBSDやNetBSDは聞いた事が無いだろうし知らないだろう。
別にいいさ自分独りでも。インストールから基本的な設定や運用に関する情報は日本語でも一通り存在するし、本家サイトや海外有志が作成したサイトも翻訳サイトやWebブラウザの翻訳機能で訳すれば何とかなる。
サーバOSとしてはFreeBSDやLinux等との間で差は殆ど無いように見える。だからサポートが厚く導入実績が圧倒的に多いLinuxが選ばれるのだろうけど。


最近、新年早々にOpenBSDユーザの方に奇跡的に出会った。
今年の1月に陣馬山から高尾山まで縦走した際の景信山での休憩中に、真冬にも関わらずOpenBSDの文字列と刺々しいハリセンボンの絵がプリントされた半袖Tシャツを着ているトレランの方が休憩しているのを見たので、勇気を出して声をかけてみたらやはりその方はOpenBSDのユーザだった。
その方は、勤務先の開発環境だけでなく、ご自宅ではファイルサーバとして利用なさっているという。短時間につきOpenBSDに関するお話を多く伺う事が出来なかったが、仲間が居て嬉しかった。別れ際にがっちりと握手してくださった。その後、相手の方は陣馬山の方向、自分は高尾山の方向に別れた。
もしどこかの山で再会する事が出来たら、なぜLinuxやFreeBSDではなくOpenBSDなのか、OpenBSDのどこが好きなのか等お伺いしたい。
OpenBSDに対するモチベーションがまた高まった。次お会い出来て会話する機会が有ったら、お話に付いていけるよう(それだけが目的ではないが)私はOpenBSDの勉強を続ける。



OpenBSDに関する記事
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20220515/1652626120 OpenBSDにリプレース完了
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20220521/1653099523 OpenBSDでSFTPサーバの設定
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20231104/1699073616 Raspberry Pi3 Model BにOpenBSDをインストール
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20240209/1707449177 古いOSでneofetchを実行する
https://debslink.hatenadiary.jp/entry/20240407/1712457452 OpenBSD 7.5のインストールに失敗する
 
OpenBSDに関するサイトなど
https://www.openbsd.org/ OpenBSD
https://fuguita.org/ 河豚板(OpenBSDベースのライブシステム)
 
FreeBSDに対する思いなど
https://note.com/jj1bdx/n/n2db3357fa232 さよなら、愛しのFreeBSD
https://fnf.seesaa.net/article/476078368.html FreeBSDの時代では無いのかも知れない
https://qiita.com/yamori813/items/431e55df1f93bc3f24c9 それでもFreeBSDを使い続けるわけ