メモのページ - チラシの裏メモ 3枚目

通信技術や気になった事を黙々とメモし続ける

心霊写真とシミュラクラ現象

登山中に撮影した画像の中から、空から見下ろす顔のような物が写っている謎の画像ファイルを見つけた。
この画像を見て即座に人の顔と認識した事に疑問が湧き、いわゆる心霊写真とは一体何なのか少し考えてみた。
当記事にはオカルトな画像が含まれております。苦手な方はスルーしてください。


空から覗き込む巨大な顔
今年の春に那須岳を縦走していた時の話。縦走も終盤に差し掛かり日の出平と南月山との間にて、自分の進行方向から人の視線を強く感じた為に何気なく前方をスマホで撮影したところ、空に人の顔のようなものが写り込んだ。
撮影した時はその場で画像の確認をせずそのまま先に進み、南月山の山頂に到着。
帰りの電車の車内で画像ファイルの確認をしていた際に気が付いたのだが、しっかりとした目元と鼻により日産の元某会長が頭の中に浮かび、人の顔に見える雲という事で心霊写真という認識はあまり持っていなかった。
撮影時や撮影後、空に顔が浮かんでいる事は全く認識せず。
後になって改めて見るとFF3のラスボスである「くらやみのくも」に感じられなくもない。
南月山山頂でのランチ中や帰宅中や帰宅後は普段と変わらず、特筆するような現象は発生していない。日産の車がこっちに突っ込んでくる、波動砲のような強風を受けるといった事象も無し。

以下の画像は、その時に撮影したもの。
画像内中央部より左上の所に、空から覗き込むような感じで顔が写っている。
改めてPCのモニターで見ると人の顔のように見えなくも無い...というレベルであるが、撮影したSONY Xperia XZ2で見るともう少しくっきりと見える。



なぜ顔のように見えるのか
人間の顔でないにも関わらず人間の顔として認識してしまう要因の1つとして、シミュラクラ現象が挙げられる。
シミュラクラ現象とは、3つの点が逆三角形のように集まったような図形を人間の顔のように認識するという脳の働きであり、シミュラクラはsimulacrum(人や物を表現または模写した物)という英単語に由来する。
この現象は、出会った動物が敵か味方か判断する為に、脳が人間の顔なのかどうか識別しようとする事から起こる錯覚と言われており、病気ではなく元々持っている習性との事。
パレイドリア効果とは、視覚や聴覚等からの刺激に対し本来存在しないにも関わらず自分が知っているパターンに当てはめて見た物や聞いた事を認識するというもの。
シミュラクラ現象はパレイドリア効果の一種と言われているが、海外ではシミュラクラなる単語は心理学ではなく哲学分野で使用されている為、欧米の文献を漁るのであれば、心理学方面で考察する際はパレイドリア効果の方が適切なようである。
上の画像では、雲の濃淡が目と口だけでなく鼻もそれらしく見えた為、人間の顔として認識したのだろう。



身の回りのシミュラクラ現象
シミュラクラ現象が言及されるのは心霊写真に限ったものではなく、我々の生活の中でも普通に見られる。
シミュラクラ現象がいつ頃から私達の生活の中に取り入れられたかに関しては深く調べていない為分からないが、海外の洞窟内の壁画や、日本国内では縄文時代の土偶の顔の中には目と口を穴で表現したものが有る事から、シミュラクラ現象は現代人特有のものでは無さそうである。深入りすると美術史にも手を伸ばさなければならないと思われる為、ここでは割愛する。絵心が無い、もしくは技術的に出来ないといった理由であのようになっているかも知れないが。
自分の周囲で探してみると、以下を見つける事が出来た。

1. 顔文字
シミュラクラ現象の応用で最も分かりやすいのは、メールやメッセージのやりとりでよく使用される顔文字だろう。
日本では(・_・)や(^_^)など横に書き、その時の感情を目で表現し、欧米では :P や :-o など横倒しで書き、その時の感情を口で表現する。

2. ロゴやキャラクター
Linuxの認定試験として有名なLPIC(Linux技術者認定試験)のロゴ。3点では無いのだが鼻を思い起こさせるような大文字のLの斜め右上に目のようなドット、そしてそれらを囲むような円は斜め横を向いたような顔のようである。
Android OSのキャラクターのドロイド君は、白い2つの点と横に伸びる長い線で顔を表している。横の線は顔と胴体の境にも見えるが、Android OSバージョン2.xの頃のプロモーション動画の中に、ドロイド君が喋ってる時に横の線が開閉していた事から口の役割も果たしていると判断。

3. チラシ
古紙入れを見ると、折りたたまれたチラシ(スギ薬局)に黒い点2つの下に赤い半円が1つ描かれていて、すぐに人の顔と判別した。
そのチラシを広げて見ると、その黒い点と赤い半円はちびまるこの顔だった。
公文のチラシ。KUMONのOの中には点2つと短い線が1本。子供の顔を表しているようなデザイン。


スマホのアプリでは顔の画像を有名人のそっくりさんに当てはめる顔認識のツールが存在する。
また、人間は車のヘッドライトとグリルを人の顔のように認識する事から、シミュラクラ現象を人間工学的にアプローチしフロントマスクのデザインへの応用が提案されたり、Deep Learningを用いた対人工物顔検出手法が検討されたり...と、工業分野においてもシミュラクラ現象が取り入れられている。


顔として認識できるのか
上記にて顔を認識するアプリがある事を指摘した。自分が撮影したものは3つの点よりもパーツとしてはより顔に近いという事も有り、今の技術では顔として認識出来るのか気になり出した。
以下のAndroidスマホのアプリで試してみたが、残念ながら顔として認識出来なかった。
Microsoft Office Picture Managerで陰影がくっきりとするよう加工しても、顔認識出来なかった。
・そっくりさん (Look alike)
・有名人判断 (CelebrityDiagnosis!)

Google Photoはフェイスグルーピング機能を有効に設定する事で人間の顔を認識し、人物の画像を自動でグルーピングする事が出来る。
撮影に使用したSONY Xperia XZ2にインストールされているGoogle Photoのフェイスグルーピング設定を有効にし、顔として認識されるか確認してみたが、残念ながら人物の顔としてグルーピングされず、顔として認識されなかった。
心霊写真でさえ顔認識されると聞いていたが、どうやら雲や煙のようにうっすらとしたものは顔認識出来ないようだ。


著者は幽霊の存在を信じているのか
残念ながら自分は幽霊の存在は信じていない。
幽霊の存在を信じる為には譲れない条件が2点有り、まず1点目は両親や祖父母の幽霊を見る事、2点目は自分が業務で携わっているデータセンタ内のネットワークの障害を防いでくれる事である。追加要件として、可能であれば、OSや通信プロトコルのバグや脆弱性も直して頂きたい。勿論、予算は増やす。


当記事に載せた画像は、スマホで撮影された雲の形がたまたまそのように見えただけという認識であるが...撮影する直前に感じた強い視線、南月山〜牛ヶ首の間で後をつけてくる謎の熊鈴のような音の正体は今もなお不明である。



参照サイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/シミュラクラ現象
https://preview.nawaten.online/project/5283 画像認識を用いたシミュラクラ現象の判別(大阪電気通信大学 デジタルアーキテクチャ研究室)
https://qrec.kyushu-u.ac.jp/archives/2012/researches/cc2012seika1.pdf 車の表情に対する人間工学的なアプローチを用いたデザイン提案
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=177888&file_id=1&file_no=1 車の表情に対する人間工学的なアプローチを用いたデザイン提案
https://www.minamiuraniwa.com/entry/simulacra-pareidolia 『シミュラクラ現象・パレイドリアを7つ紹介』日常生活の中で顔に見えるものがあります。
https://note.com/designstrategy/n/nf54f17d5dec2 シミュラクラ現象 (顔の力):行動経済学とデザイン24
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%83%BCIII FF3
https://news.livedoor.com/article/detail/17433119/ Googleフォトを「顔」で自動分類!人物探しが圧倒的にラクになる使い方