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WS-SUP32-GE-3Bの基本構造

自宅に鎮座するCatalyst6503に挿入されているSupervisor Engineモジュール、WS-SUP32-GE-3Bに関していろいろ調べてみた。

SUP2(WS-X6K-S2U-MSFC)やSUP720(WS-SUP720-3B)の後継版では無く、SUP1AとSUP720の合いの子という印象。
SUP720より安価で購入可能な点と、MPLSやIPv6やGRE Tunnelのハードウェア対応、現行バージョンのIOS対応(ただし15.xは未対応)...といった点が商用環境への導入メリットか。

バックプレーンの帯域が32Gbpsで転送処理能力が15Mppsというスペックでは、"今更"データセンタにて導入するとなると、ユーザトラヒックが流れるネットワークにおいてコアSWとしての導入は厳しい。管理用ネットワークである場合はコアSWとしての導入はOKか。
数年前に某通信事業者にて大量に導入していた事を思い出したが、あれは10GのXENPAK用Portを2つ搭載していた方のSUP32だったか。

以下に、簡単にまとめてみた。

SUP32のハードウェアに関して。
行頭の数字は画像内を参照。(画像をクリックすると拡大表示)

1. SP Flash (sup-bootdisk): IOSファイルを格納。1GBに換装済み。
2. SP DRAM (SUP DRAM): 512MB
3. RP Flash (bootflash): 64MB
4. RP DRAM (MSFC2A RAM): 512MB
5. RP CPU (Routing Processor CPU): MIPS R7000 300MHz
6. SP CPU (Switching Processor CPU): SiByte BCM1120 400MHz (PFC3Bの下に隠れて見えない)
7. CF Card Slot (disk0:): IOSファイルを格納。512MBのCFを挿入済み。
8. 電源コネクタ
9. 共有バスコネクタ: 32Gbpsバス (Slot1の丸10の部分を破損した。)

赤枠 MSFC2A: コントロールプレーン
青枠 PFC3B: データプレーン (Forwarding Engine)
共有バス: バックプレーン(の一部)

UpLink Portとして1G SFP Portが8つ搭載されている。
他に、USB Port(USB 2.0)と1Gの管理用Portが1つ、Console Portが1つ搭載されている。


バックプレーンに関して。
SUP32は残念ながらSUP1Aと同じく32Gbpsの共有バスのみ対応。
SUP2の256Gbps SFM(Switching Fabric Module)は未対応。
コントロールプレーンとデータプレーンとの間の通信は、共有バスを通って流れる。
SUP2やSUP720同様にEOBC(Ethernet out-of-band channel)というシャーシ内部で閉じられたEthernet回線が有り、SUPによる各ラインカードの制御に使用されている。


データプレーンに関して。
SUP720と同じ第3世代(コードネーム:EARL7)のPFC3Bを搭載。
8本の物理インターフェース(1Gbps SFP Port x8)と、32Gbpsの共有バス(クラッシックバス)経由で接続されているラインカードへのパケット転送処理(ブリッジングやルーティングやQoSやACL等)を担う。
例えば、受信したフレームの転送先(出力Interface)をTCAMで検索しASICで転送処理(フレームから必要な情報の読み込み、フレームのヘッダの情報書き換え)等を実行する。
FIBテーブルの拡張版であるPFC3BXLは未対応。


コントロールプレーンに関して。
SUP32ではMSFC2A。SUP2とは異なり標準装備になっている。
SUP720のコントロールプレーン(MSFC3)にはRPとSPの両方を搭載しているが、SUP32の場合はRPのみ搭載し、SPはSUPのMother Boardに搭載されている。
RPにてIOSが動作している。SUP720と同様にSP上でもIOSが動作しているが、コマンドで設定や管理するのはRP上で動作しているIOSであり、SP上で動作するIOSに関しては通常運用時は意識しない。
コントロールプレーンはSwitch全体の制御だけではなく、ルーティングプロトコルやSTPやCDPやSNMP等の処理を実行や、これらの情報を保存する。